今を俯瞰できるのかなと思ってつい

その街の人たちにとっての絶望の意味はわかりませんが、
「自分に起こることは幸福のかけらを必ず孕んでいる」という
私の人生観が崩れ去る体験でした。
「その状況で幸福のかけらなど見つけるなんて不可能だ」
という感覚に襲われたことが私にとっての「絶望」だったのです。

私の心に暗いものを残すような書物には触れまいと日頃用心していたのに
なぜ半分も読み進めてしまったのか!
自分を責めて記憶の消しゴムがあったら消し去りたいと強く思いました。

一晩寝て、「あの時代・場所を生きる人の背景やそこで培われた感覚は
今の私には理解の範疇を超えている」と
今の私が彼らにとっての体験の意味を推し量れなくても
彼らなりの何か幸福の種があるに違いないと思う(願う)ことだけが
私をなぐさめるのです。

『ペスト』カミユ著はもう二度と手に取らないでしょう。

琵琶湖ビエンナーレ2022沖島会場 石川雷太作品